2011年6月

目的

日本クラブハウス連合は、クラブハウス インターナショナル(Clubhouse International)が規定する国際基準によって運営している国内のクラブハウスが連携して、クラブハウス・モデルの基本的な理念および実践を正しく国内の関係に伝える。また、クラブハウスの設立を目指しているグループを支援すると共に、クラブハウス・モデルの有効性とその評価を積極的に外部へ発信し、精神障がい者のソーシャルインクルージョン(社会的包摂)の促進も積極的に行うことを目的とする。

活動内容

日本クラブハウス連合は、目的を達成するため、次の事業を行う。

  1. 既存のクラブハウスの向上の支援とクラブハウス間の交流・連携の促進、それに伴うネットワークの構築。
  2. 新たなクラブハウスの設立・発展の支援とクラブハウス・モデル育成のための各種セミナー、研修などの実施。
  3. クラブハウス インターナショナル(CI)との連絡調整。
  4. クラブハウス インターナショナル(CI)が実施する研修ならびに世界会議、地域会議への関係者の派遣への援助。
  5. クラブハウス・モデルを周知するためのウェブサイトの運営をはじめとする各種広報活動の実施。
  6. 我が国におけるクラブハウス・モデルの有効性とその成果の研究と、研究結果の関係機関への周知。
  7. 日本クラブハウス会議の定期開催。
  8. その他連合の目的を達成するために必要と認められる事業の実施

クラブハウス国際基準 2008年版

世界的規模のクラブハウスコミュニティの合意の上で承諾されたクラブハウス国際基準は、リハビリ(全人間的復権)のクラブハウスモデルを定義する。これらの基準が表している根本理念は、精神障害者たちがその社会的・経済的・職業的目標を達成する過程で、入院せずに(地域社会の中で)暮らせるように支援することで、クラブハウスコミュニティが成功するための核心である。基準は、メンバーにとっての一種の人権宣言であり、スタッフ、理事会、管理者のための倫理規定として役立つ。基準は、クラブハウスがそのメンバーに敬意が払われ、機会の与えられる場所であることを強く求める。

 

 基準は、クラブハウス国際開発センター(ICCD)がクラブハウスを認定する過程を通して、クラブハウスの質を評価する根拠を与えるものである。

 

 2年ごとに世界的規模のクラブハウスコミュニティは、これらの基準を再検討し、必要ならば修正する。その手順はICCDの基準検討委員会が調整する。同委員会はICCDの認定した世界各地のクラブハウスのメンバーとスタッフから構成されている。

  

メンバーの資格

1.      クラブハウスへの入退会は、個人の自発的な意思による。在籍期間の限定はない。

2.      入会の決定権はクラブハウスにある。入会の資格は、精神疾患の経験があるという事実だけである。ただし、著しくクラブハウスコミュニティの安全を脅かす行為のある人は例外とする。

3.      クラブハウスで、共に働くスタッフをどのように利用するかを決定するのはメンバーである。メンバーの無理な参加を意図する同意事項、予定表、規則は設けない。

4.      メンバーは、全員、平等にクラブハウスの提供するすべての機会を得る権利があり、診断名や障害のレベルによって区別されることはない。

5.      自らの選択に基づき、メンバーはクラブハウスへの参加状況の記録作成に参加する。その場合、その記録にはメンバーとスタッフ双方が署名をする。

6.      メンバーには、欠席期間の長短にかかわらず、クラブハウスコミュニティにいつでも再び参加できる権利をもつ。ただし、その再参加がクラブハウスコミュニティに対する脅威となる場合は、この限りではない。

7.      クラブハウスは、欠席が続いているメンバーがコミュニティや病院内で孤立しないように、効果的なリーチアウト(訪問支援)を提供する。

 

 メンバーとスタッフの関係

8.      クラブハウスのすべてのミーティングは、メンバーとスタッフの双方にオープン(自由参加)である。プログラムを決めることや、メンバーに関係する事柄について話し合う際に、メンバーのみ、または正式スタッフのみ、という限定された会議で、プログラムやメンバーに関する決定が議論されることはない。

9.      クラブハウスのスタッフの人数は、登録したメンバーの数に見合ったものでなければならない。しかし同時に、メンバーの参加なしには運営責任を果たせない程度にとどめなければならない。

10.   クラブハウスのスタッフは、多方面の総合的な役割を果たす。すべてのスタッフは、就労、住居、夜間と週末、祝祭日、およびユニット活動の責任を分担する。クラブハウスのスタッフは、クラブハウス以外の仕事を兼務しない。

11.   クラブハウスを運営していく責任はメンバーとスタッフにあり、最終的にはクラブハウスの施設長が負担する。この責任の中核をなすものは、双方がクラブハウスの運営のあらゆる面に責任ある関わり方をするというところにある。

  

クラブハウスという場所

12.   クラブハウスは、それぞれ自体が独自性をもち、固有の名称、住所(アドレス)、電話番号などをもつ。

13.   クラブハウスは独自の集会場所をもち、それはいかなる精神保健施設からも独立しており、他のプログラムと完全に切り離されていなければならない。クラブハウスは、デイプログラム(日中活動)が容易にできるように、また魅力的で、充実した規模があり、敬意と尊厳の雰囲気を感じられるように整備される。

14.   クラブハウスのすべての場所は、メンバーとスタッフが自由に出入りすることができる。スタッフ専用またはメンバー専用の場所を設けない。

  

日中活動(work-ordered day

15.   日中活動では、メンバーとスタッフが一緒に、横並びの関係でクラブハウスを運営する仕事に携わる。クラブハウスは、メンバーの強さ、才能、可能性に焦点を合わせ、通常の活動には、薬物療法、デイケア、また、いかなる治療プログラムも含めない。

16.   クラブハウス内で行われる作業は、クラブハウスコミュニティを運営・強化する中で、クラブハウスが生み出す作業に限られる。クラブハウス外の個人や機関から請け負う作業は、有給・無給にかかわらず、クラブハウス内でする作業としては受け入れない。クラブハウス内のどのような作業をしても、メンバーに報酬が支払われることはない。また、不自然な報酬支払い制度を設けない。

17.   クラブハウスは、少なくとも週に5日は開所する。日中活動は、一般的な勤務時間帯と同じ時間に行われる。

18.   クラブハウスは、一つ以上の作業ユニットを組織する。それぞれには、充実して人を引きつける日中活動を維持するのに充分なスタッフとメンバーがおり、意味のある仕事がある。各ユニットミーティングは、日中活動を組織・計画すると同時に、人間関係を育てるために行われる。

19.   クラブハウス内の作業は、すべてメンバーたちが自尊心、人生の目標、自信を取り戻すことを目的として設計されている。その作業は、仕事に就くための特定の訓練を意図していない。

20.   メンバーは、クラブハウスの中のすべての作業に参加する機会を与えられる。それら作業は、運営、調査、新メンバーの受け入れ・オリエンテーション、訪問援助、スタッフの採用・研修・評価、広報活動、権利擁護(運動)、クラブハウスの有効性を評価することを含む。

  

就 労

21.   クラブハウスは、メンバーが過渡的雇用(TE)、援助付き雇用(SE)、一般就労(IE)を通じて、一般社会において賃金を得ることを可能にする。したがって、クラブハウスは、クラブハウス内の仕事、他のクラブハウスの仕事、また保護的作業所などの仕事を提供しない。

 

過渡的雇用

22.   クラブハウスには、独自の過渡的雇用プログラムがある。過渡的雇用プログラムとは、メンバーであることの権利として、会社、工場で働くための仕事斡旋の機会を提供することである。クラブハウスの過渡的雇用プログラムのはっきりとした特徴として、メンバーが欠勤している間は、他のメンバー、スタッフがそのすべての仕事をやりとげることを、クラブハウスが保証することである。さらに、過渡的雇用プログラムは、次の基本的な基準にかなうものでなければならない。

 

a.      本人の働きたいという希望が、仕事を斡旋する機会を提供するかどうかを決める、ただ一つの、一番大切な条件である。

b.      前の仕事での成功の程度に関係なく、メンバーは仕事への斡旋の機会を継続的に利用することができる。

c.       メンバーは雇用主の職場で働く。

d.      メンバーには、少なくとも最低賃金以上の一般と同等の給料が、雇用主から直接支払われる。

e.       過渡的雇用の仕事の配置は、広い分野の仕事の機会から選び出される。

f.       過渡的雇用で斡旋される仕事は、パートタイムで期限があり、一般的に週に1520時間で、継続期間は6~9か月間である。

g.      過渡的雇用の斡旋受けるメンバーを選び訓練するのは、クラブハウスの責任であり、雇用主の責任ではない。

h.      クラブハウスのメンバーとスタッフは、過渡的雇用の就労状況について、メンバーの利益を扱うすべての適切な機関への報告書を準備する。

i.        過渡的雇用の仕事の斡旋は、クラブハウスのスタッフとメンバーが運営し、過渡的雇用の専門家が運営するわけではない。

j.        クラブハウス内に過渡的雇用の勤め口を設けてはならない。過渡的雇用に協力してくれる職場は、クラブハウス外の仕事で、上記の基準をすべて満たすものでなければならない。

 

援助付き雇用と一般就労

23.   クラブハウスは、メンバーの就労を確保・維持し、さらに、向上するように援助・支持する独自の援助付き雇用および一般就労プログラムを提供する。クラブハウスの援助付き雇用を定義する一つの特徴として、クラブハウスは働くメンバーと雇用主間の関係性を維持する。メンバーとスタッフがパートナーシップで望ましい支援のあり方、頻度、場所を決める。

24.   一般就労しているメンバーは、引き続きクラブハウスのすべての援助と機会を利用できる。それら援助と機会利用の可能性としては、権利擁護の支援、住宅保障、医療、法的問題、経済問題、さらに個人的な事柄についての相談を含む。週末および夜間への参加は勿論である。

 

教 育

25.   クラブハウスは、メンバーが自分たちの職業的、また教育的現実目標に到達できるように、地域に存在する成人教育の機会利用を援助する。クラブハウス自体がその活動として、教育的なプログラムを展開している場合には、それらを積極的に活用し、メンバーの学習と個人指導、双方の能力を向上させる。

  

クラブハウスの役割

26.   クラブハウスの設立場所は、手近な交通手段が利用でき、プログラム参加の行き帰りと、過渡的雇用の職場への通勤の両方に便利であることが通常である。公共の交通機関の利用が難しい場合には、クラブハウスは代わりとなる交通手段を用意する、もしくは調整する。

27.   クラブハウスの仲間を援助するサービスは、メンバーとスタッフが行う。地域生活の支援は、クラブハウスの日中活動の仕組みの中で行われる。その中には、娯楽、住居の確保、権利擁護支援、健康な生活様式の展開、また地域内の良質な医療、心理療法、薬物療法、薬物乱用治療サービスなどを探し出すに当たっての援助なども含まれる。

28.   クラブハウスは、安全で、人並みで、手頃な家賃の住居の多様な選択をメンバー全員に確保することに取り組み、それには自立生活の機会を含む。クラブハウスは、これらの基準に沿った住居機会が得られるような手段を持つ。もし、そのような手段がない場合は、クラブハウス独自の住居プログラムを開発する。クラブハウスが提供する住居プログラムは以下の基準に沿ったものとする。

 

a.      メンバーとスタッフが、一緒になってそのプログラムを運営する。

b.      入居はメンバーの意思による。

c.      メンバーが、その住居の場所と一緒に、暮らす人を選ぶ。

d.      住居プログラムの方針と手続きは、それ以外のクラブハウスのプログラムの風土や文化と、いわば、同質性を保つような内容で作られなければならない。

e.       クラブハウスからの援助の水準は、 メンバーのニーズの変化に応じて増減する。

f.       メンバーとスタッフは、メンバーが自分の住居を維持するために、特に入院期間中には、積極的にリーチアウト(訪問支援)する。

 

29.   クラブハウスは、クラブハウス自体の有効性の客観的な評価を定期的に行う。

30.   クラブハウスの施設長、メンバー、スタッフ、およびその他参加することが適切と思われる人たちは、ICCDに認定された研修センターで、クラブハウスモデルについての3週間研修プログラムに参加する。

31.   クラブハウスは、夜間と週末に、レクリエーションと社交のプログラムを行う。祝祭日は、世間の人たちと同じく、その当日にクラブハウスでも祝う。

  

クラブハウスの財政、管理方式、経営

32.   クラブハウスは、独立した理事会を設ける。理事会が資金を提供する機関と深く結びついている場合は、それとは別の諮問委員会を設ける。理事会・諮問委員会を構成するめいめいの人は、クラブハウスへの財政支援、法律上の問題への支援、法律制定への支援、消費者・地域生活支援・権利擁護支援をそれぞれ提供する地位にあるものとする。

33.   クラブハウスは、独自の予算を組み、運営する。会計年度に先立ち、理事会あるいは諮問委員会による承認を受け、会計年度中に定期的に監査を受ける。

34.   スタッフの給与は、精神保健分野における同等の職務に準じたものとする。

35.   クラブハウスは、適切な精神保健当局の支援を受け、すべての必要な免許・認可を受ける。クラブハウスはその働きの効果を高めるために有効な、より広い地域、領域の人々、組織と協力する。

36.   クラブハウスは、メンバーとスタッフが積極的に参加、決定のできる、開かれた討論の場を有する。決定は全員一致を原則として、その範囲は、運営組織、基本方針、将来計画の方向性、クラブハウスの発展計画などを含む。

 

                      (訳監修:窪田暁子)PDF版はこちらからダウンロードできます。

クラブハウス国際基準(2011).pdf

※現在、2010年度版の翻訳を進めています。

 

日本クラブハウス連合 設立

2011年6月4日(土)、「日本クラブハウス連合」設立総会が開催され、国内で活動している5つのクラブハウスおよび関係者によって承認されました。

国内のクラブハウスの連携、クラブハウスモデルの広報・啓発や研究等に可能な範囲で取り組んでいきます。

「日本クラブハウス連合」設立にあたり、海外の仲間からあたたかいメッセージをもらいました。

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